特性

大豆の植物学的特性

マメ科の一年生草本で、茎の伸育型によって有限型と無限型に分けられます。無限型とは、茎が条件さえ良ければ伸び続けるという意味です。有限型をモデルに、十勝地方の生育を標準に、植物学的特性を述べますと、大豆の播種は5月20日〜下旬にかけて行い、種子が吸水したのち、初め幼苗が出てきて次に胚軸が伸長して子葉が地上に現れます。

これを一般には発芽といいますが、圃場での観察では出芽と呼んでいます。出芽に必要な日数はおよそ10〜15日です。地温10℃以下では、出芽が極めて不良となり、発芽障害を受けやすく、腐敗粒も多くなって、出芽率が低下します。大豆の生育適温は25〜30℃で、北海道における春の気温は低く、子葉展開後、初生葉の展開までには7〜10日を要します。その後、約1週間で第1本葉が展開し、適温の上昇につれ、出葉速度は速まります。

分枝は第1本葉節から出現し、逐次、上位節に分化が進みます。障害を受けた場合や摘芯処理などによって、下部の初生葉節あるいは子葉節から対生することがあります。花芽分化は開花前20日頃に行われ、日長と温度に強く影響されます。開花は晴天時に最も良く行われ、午前7〜9時の間に集中します。開花は主茎中央部から始まり、上位節へ移ります。

開花期間は、有限型品種で15(早生)〜40(晩生)日、無限型で40〜60日です。花は葉液から出る短い花軸に多数つきますが、結莢率は著しく低いです(20〜40%)。花色は白〜紫色で、莢は長さ3〜5cmで、2〜3個の種子が入っています。

成熟期は全株数の80〜90%の莢の大部分が変色し、子実の大部分が品種固有の色を現し、莢を振って音のする時期とされています。結実日数は最も短い品種でも約50日を要します。

子実の粒大は、百粒重によって、一般群が極大から極小まで9段階に、極大群はさらに小〜大の5段階に分けられています。極小は9.9g以下、小は14.9g以下、小の大は18.9g以下、中の小は22.9g以下、中は26.9g以下、中の大は30.9g以下、大の小は34.9g以下、大は39.9g以下とし、極大群の40.0g以上はさらに、小:40.0〜49.9g、小の大:50.0〜59.9g、中:60.0〜69.9g、中の大:70.0〜79.9g、大:80g以上です。

種皮色は単色と複色に大別し、複色は地色(単色)に斑色が加わります。単色として、黄、黄白、淡緑、緑、淡褐、褐、黒の7色に分けられ、斑色としては褐と黒のみが現存する品種として該当します。大豆は臍部の色も重要で、その色を黒、淡黒、暗褐、褐、淡褐、極淡褐、黄、緑に分類しています。