大豆の品種
大豆の分類は、形態的特性による分類、生態的特性による分類、利用による分類に大別できます。
形態的特性による分類
形態的特性による分類としては、子実の特性、植物体の色や茎枝の形状、茎の伸育型などがあります。
子実の特性を主とする分類も数多くありますが、一般的には、粒大(大粒種、中粒種、小粒種)、種皮色(黄白、黄、淡緑、緑、黒、淡褐、褐、斑色)、臍色(黄、極淡褐、淡褐、暗褐、緑、淡黒、黒)の組み合わせによるものが多いです。
植物体の特性を主とする分類は、草型(短茎分枝開帳型、短茎分枝閉鎖型など8草型、現在はほとんど使用されていません)、葉型(円葉、長葉、中間葉)、花色(白、紫)、熟莢色(淡褐、褐、暗褐、黒)などがありますが、これらは主に特性審査基準として使われています。
茎の伸育型については、有限型、無限型、中間型に分けられます。有限型は、茎が伸長を停止する時期が早く、茎の頂部が基部の太さに近くなります。日本で栽培されている品種はほとんどが有限型で、北アメリカでは南部に栽培される晩生品種がこれに該当します。無限型は、有限型に比べ開花を始める節位が低く、開花期間が2倍くらいあり、30日以上に及び、開花後の茎の伸長が大きく、頂部の葉がきわだって小型です。日本では無限型の実用品種は北海道の「ツルコガネ」のみです。
生態的特性による分類
生態的特徴による分類は、日長に対する反応、開花結実の習性、熟期、病害虫抵抗性、環境適応性(耐冷性、耐湿性、遅捲適応性など)などがあります。
日長に対する反応による分類は、夏大豆型、秋大豆型、中間型に分けられています。春蒔きしても正常な生育をして、開花結実するのが夏大豆型、春蒔きすると茎が徒長・つる化し、正常な開花結実が行われにくく、夏蒔きして日長が短くなると正常な開花結実を行うのが秋大豆型、その中間タイプが中間型です。なお、北海道は夏大豆です。
開花結実の習性による分類は、開花までの日数を60日以下(T)、約70日(U)、約80日(V)、約90日(W)、100日以上(X)に区分します。また結実日数を60日以下(a)、60〜80日(b)、80日以上(c)に区分し、これを組み合わせて12生態系にする方法です。北海道の品種はTa、Tbに該当します。
熟期による分類は、早生(わせ)、中生(なかて)、晩生(おくて)をさらに早、中、晩に区分して9生態型に分けます。この分類は地域(国内を寒地、寒冷地、温暖地、暖地の4地域にしています)によって該当する品種が異なってきます。
用途・利用による分類
用途・利用による分類は、用途、農産物規格規定などがあります。
用途による分類は、栽培面では子実用、枝豆用、青刈・緑肥用、利用目的によっては製油用、食品用、食品用では豆腐・油揚げ、納豆、煮豆・総菜、味噌・醤油、煎り豆菓子、もやしなどに分類されます。食品用の中では、豆腐・油揚げには高たんぱく質大豆、納豆には小粒大豆、煮豆・総菜には大粒大豆、黒大豆、大振袖、味噌・醤油にいは秋田(臍色が褐色、一般には褐目大豆と呼ばれています)が好まれています。輸入大豆の大部分は製油用に、国産大豆のほとんどは食品用に使われています。
農産物規格規定による分類は、大豆の検査規格として普通大豆、特定加工用に分けられ、後者は原形をとどめない用途に使用される大豆に適用されます。また、検査規格は大豆の粒大により4区分(大粒:ふるい目7.9mm以上70%、中粒:7.3mm以上、小粒:6.7mm以上、極小粒:4.9mm以上)に分けています。さらに、それぞれの粒大において産地品種銘柄があり、大粒大豆は@大振袖、Aつるの子、Bとよまさり、Cエンレイ、Dタチナガハ、Eタマホマレ、Fフクユタカなど27銘柄、中粒大豆は@秋田、A音更大振袖、B光黒、Cスズユタカ、Dアキシロメ、Eむらゆたかなど29銘柄、小粒および極小粒大豆は@スズヒメ、Aスズマル、Bコスズ、C納豆小粒の4銘柄に分けられます。これらの分類は雑穀取扱業者、加工業者、一般消費者に最も馴染み深いようです。